令和5年3月からの公共工事設計労務単価が公表されました

新労務単価はどれぐらい上がった?

先日、国土交通省より、令和5年3月から適用する『公共工事設計労務単価』と『公共工事設計業務技術者単価』が発表されました。

  

建設業は、従事する人が年間6万人程度減少し、深刻な人手不足問題を抱えています。

  

それに伴い、労働環境の改善と賃金のベースアップが早急の解決すべき問題となる中で、この労務単価は非常に重要な要素の一つです。

  

それでは、新しい労務単価とこれまでの推移を見てみましょう。

  

※全国、全職種の労務単価につきましては、国土交通省の公表資料をご確認ください。

https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001587029.pdf

  

  

国土交通省 令和5年3月から適用する公共工事設計労務単価 より抜粋

  

  

  

全国・全職種の平均値で見ると、令和4年の単価に比べ、+5.2%の伸びとなっております。

  

職種ごとや地域ごとにみると若干のバラつきはあるものの、全体的に上昇傾向にあります。あくまで全国平均値になりますが、主要12職種で見ても、最大は交通誘導員Aで +7.1%、Bで 6.3%と伸び率が大きいです。

  

(ただ交通誘導員については、元々人で不足があることもあると思いますが、実際に誘導員を依頼するとこの金額ではなかなか来てもらえません、、)

  

  

国土交通省 令和5年3月から適用する公共工事設計労務単価 より抜粋

  

2番目のグラフが平成9年度以降の労務単価の推移です。

  

平成9年度以降、平成12年度に大幅に下降してからも少しづつ下がり続けましたが、平成24年度から25年度にかけて、民主党政権の終わりと、東日本大震災がターニングポイントとなり一気に上昇に転じました。

  

そこから7年ほどで、ようやく平成9年度と同じ水準まで回復、その後も上昇傾向で推移しています。

  

そして今年は9年ぶりに5.0%以上の伸び率となったようです。これには、やはり昨今の物価上昇に対応するためだと考えられます。

  

もちろん、この労務単価が上がらないことには、設計金額も増えませんので、労務単価の上昇は非常に重要な要素です。

  

しかし、この労務単価が上昇すれば建設業における賃金や人手不足の問題が解決できるという単純なものではないのも確かです。

人手不足の問題で言えば、これから様々な分野でDXが推進され、AIの導入や機械の自動化など、人の労力を減らす方向に進んでいきます。ということはつまり、同じような仕事量があっても必要や労働者の数は減っていくんですよね。

  

これは、人口減少が進む日本においては必要な取り組みなので、どんどんこれからも進められていくと思います。

  

ただ建設業においては、従事する人口が年間で6万人ほど減少しており、これでは全く追い付きません。

  

労働環境や賃金など、業界を取り巻く様々な問題の解決策を探りながら、若者の入職を促す活動もしっかり業界全体で取り組み、なんとかこの労働者数の減少を出来るだけ緩やかにしていく取組みは必要不可欠だと思います。

  

  

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