令和4年の土砂災害発生件数は? -地質調査には何ができるのか―

令和4年には何件の土砂災害が発生した?

  

令和4年に起こった土砂災害の件数について国土交通省より発表がありました。

 

国土交通省 報道発表資料より

令和4年には、全国で795件の土砂災害※1 が発生しました。

※1 土石流等、地すべり、がけ崩れ(火砕流除く)

  

土砂災害が発生しなかったのは、5つの都府県しかなく、大小はあるにせよ日本全国のほとんどの地域で何かしらの土砂災害が発生していることになります。

  

特に被害が大きかったのは、台風15号による被害でした。しかもその台風15号による災害に9割以上が静岡県に集中しており、静岡県では各地で大きな被害が出たようです。

  

※令和4年度の主な土砂災害発生状況

国土交通省「令和4年 全国の土砂災害発生状況」より

  

令和3年の発生件数は972件でしたので、件数的には減少しています。表を見ると、近年で最も多く土砂災害が発生したのは、平成30年で全国で3000件を超える土砂災害が起こりました。その年は平成30年7月豪雨が発生し、全国で甚大な被害が出ました。

  

岡山県倉敷市真備町での大規模な浸水被害などが記憶に新しいと思います。

  

その年以降も、毎年のように豪雨による土砂災害による被害が日本のどこかで起こっています。日本に住んでいる以上、災害は他人事ではありません。

  

国としても近年激甚化する災害に対応する為、国土強靭化を掲げ、防災・減災を進め、災害に強い国土づくりに力を入れています。

  

しかし、災害を0にすることは不可能です。

  

なので、災害による物的・人的被害を少しでも小さくし、さらに災害が発生した場合には、1日でも早く普段の生活を取りもですために活躍しているのが、建設業やその関連業と言われる業種の人たちです。もちろん地質調査も重要な役割を果たしています。

災害が発生!その時、地質調査はどんな役目を果たす?

  

では、もし土砂災害等が発生した場合には、地質調査の仕事はどのように関わっているのでしょうか。

  

①現地踏査、災害状況・規模の把握

  

まずは、災害の起こった場所を実際に確認し、災害の状況や規模を把握します。規模が大きかったり、複数の場所で起こっている場合には、ドローンを使った空撮により災害状況の把握を行うこともあります。

ドローンを使った空撮(別現場)

②調査計画の策定

  

その後、災害復旧に関わる設計や工事の担当とも打合せしながら、調査ポイント決め、調査計画を立てます。豪雨や地震の場合もそうですが、災害発生後の現場では地盤が緩んでいるなどのことから、二次災害の危険があります。

  

そのため調査や工事については、二次災害に十分配慮しながらもできる限り短期間で完了させるという非常に難しい現場状況になります。

調査を行う場所を決める

③ボーリング調査

  

実際に現場で足場を仮設し、ボーリング調査を行います。このような災害現場での調査については、特に危険が伴います。ボーリングマシンのオペレーター、地質の技術者が力を併せて作業を行います。

  

それぞれの経験と高い技術力が必要となる現場です。

調査のための足場を仮設します
ボーリング作業

そして、このボーリング調査で得られたデータを基に技術者が解析を行い、復旧のための設計・施工に生かされていきます。

  

今回は、地質調査をピックアップしていますが、私たちの安全で安心で便利な暮らしは、目に見えない多くの人たちの絶え間ない努力によってつくられています。

  

仕事には上も下もありません。この社会は様々な人々の仕事で成り立っています。

ただ、目に見えにくい仕事と目につきやすい仕事はあります。目に見えにくい仕事はどうしても、その働きも重要性も認識されづらいものです。

  

ボコボコしていた道路がいつの間にかきれいになっていたり、崩れた斜面が復旧されていたり・・・普段何気なく過ごしていると見過ごしてしまいそうな風景の中にも数多くの仕事が隠れています。

  

もしあなたの生活の中でそんな小さな変化に気づいたら、その陰にたくさんの人の仕事があることを想像してみてください。

  

きっといつもの風景が少し違って見えてくるはずです。

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