地質調査と安全対策 -安全パトロールの実施と必要性-

どの現場にも常に危険はある

地質調査を行う際、様々な現場状況の中で足場を造り、可能な限りの作業スペースを自身で確保してから作業に当たります。

その際にやはり一番気を付けなければならないのが『安全対策』です。やはり安全第一です。万が一、現場で事故やケガなどが発生してしまうと、もちろん作業する人の命に関わることもありますし、ケガにより仕事ができなくなることもあります。また、現場での事故は、社会的にも信用を損なう可能性もあります。

実際に地質調査の現場として関わる事の多い建設業においては、令和2年の一年間に現場での事故によって約1万5千人が死傷しています。さらに死亡者数でみると建設業は、全産業の中でもワースト1位となっています。

【労働災害の現状 - 一般社団法人 全国建設業労災互助会】(外部リンク)

なので、まずは事故を起こさないことが大切になるので、事故の原因となり得るリスク、危険因子を排除していくことが重要になります。

しかし、現場での事故と言っても事故の種類や原因も様々です。墜落・転落、はさまれ・巻き込まれ、崩壊・倒壊などに加え、交通事故が事故件数として上位にあるようです。

このように書くと、大げさな事故のように見えるかもしれませんが、実際には足元の道具につまずいたり、足場から誤って落ちたり、機械に指を挟んだりと、ほんのちょっとした不注意や気持ちの焦り・緩みから事故は起こっているのです。

そこで今回は、実際に現場での安全管理の状態を定期的にチェックする『安全パトロール』についてご紹介していきます。

私の会社でも定期的に安全パトロールを行い、各作業現場での安全対策がしっかり実施されているかを確認するようにしています。そして、その安全パトロールの結果を全体の安全会議で全スタッフに共有しています。

ヘルメットの着用
適切な服装も安全対策の一つ

ただその前に忘れてはならないのが、事故の原因となり得るリスクは現場によるものだけではないということです。まずは、作業員の健康管理や服装、現場までの通勤のための運転などから、もうすでに事故のリスクは存在しています。

体調は悪くないか、アルコールは残っていないか、安全な運転ができているか、作業着や保護具は適切に着用されているかなど、基本的な現場に入る前の段階から安全対策は始まっていることを各スタッフに意識づけをしておくことが大切ですね。

実際、安全パトロールってどんなことするの?

ここからは実際に私の会社で行っている安全パトロールをご紹介していきます。

通常、二人で各調査現場に行き、実際に作業が行われている状態での安全対策の状況をチェックシートを使って一つずつ確認していきます。

まず、車両の駐車位置に問題が無いか、車止めは設置されているか、工事看板や注意喚起の看板が適切に設置されているか、消火器や救急箱があるかなど、慣れてくるとつい忘れてたり、省いたりしてしまいそうな基本的な対策を確認していきます。

車止め
車止めは必ず設置する

車両の駐車位置や車止めの設置は基本中の基本ですが、やはり徹底されていない現場に出くわすことも多い気がします。

みなさんも工事のトラックなどが、道路を半分近く塞ぐ形で駐車してあり、『邪魔だな』『危ないな』と感じたことが1度はあるのではないでしょうか?

また、駐車した車のサイドブレーキのかけ忘れにより、車が動き出して挟まれるという死亡事故も少なくありませんよね。

作業スペースの整理整頓はできているか?

次に安全に作業をするために重要になるのが、作業スペースの整理整頓です。これも基本中の基本ですね。

現場内でよく起きる事故やケガの原因である転落やつまずきなどは、この整理整頓を徹底することで予防できる部分が非常に大きいと思います。

工具や材料などが散乱していると、作業効率が低下するばかりでなく、思わぬ事故やケガにつながります。

道具や機材の配置、足場の仮設などは、ちょっとした気配りと配慮で大きく改善できます。ただどうしても地質調査の場合、1箇所での作業期間が短いものでは2~3日で次の現場で移動しなければならないこともあり、効率を重視すると見落としがちになりやすい部分でもあります。

足場材の単管パイプの端にキャップを付ける、クランプカバーを付けるなど、細かくて面倒な作業もあるかもしれません。

しかし、これらをしっかりと行い現場が整理整頓されていると、事故防止だけでなく、現場を周囲から見た人にも安心感を与えられるとともに地質調査に対するイメージアップにも繋げられると考えます。

【道路上での調査】

道路付近の現場
現場にはどんな危険があるか

上の写真のように、作業スペースが道路に掛かってしまう場合は特に注意が必要です。通行する車に対しても危険がありますし、作業員との接触などの危険がありますよね。思わぬ二次的な事故が発生してしまうリスクもあります。

この現場はまだ、災害復旧中で一般車両の通行は出来ない(工事関係車両のみ通行可)状態でしたが、通常は走行する車への飛散防止のシートなどを設置する必要があることなどを現場の人に伝え、その場で意見交換をしながら、必要な場合にはすぐに対策をします。

看板と交通誘導員
看板と設置と交通誘導員の配置

上の現場を少し手前から写した写真です。走行車両に対して注意喚起を行うため、工事看板を設置し、道路を一部塞ぐ区間については交通誘導員を配置して、通行する車両の安全を確保します。このように安全対策とは自分たちの作業スペースの中だけでなく、周囲の安全にも十分に配慮する必要があります。

このようにして、いろいろな現場をパトロールし、その現場状況に応じた安全対策の徹底につなげていきます。

【急傾斜地での調査】

急傾斜地での調査
急傾斜地での調査

急傾斜地での調査現場では、仮設を行う際や機材の運搬方法などにも十分な対策が必要です。

また状況からみてもわかるように、転落や滑落といった危険が伴います。道具などの落下も考えられるので、落下防止のネットや柵などその状況に応じた安全対策を話し合いながら見直していきます。

【水上での調査】

水上での調査現場
水上での調査現場

水上での調査現場では、転落の危険があるためライフジャケットの着用を行います。また油の流出等による水質汚染を防ぐためにオイルフェンス等の設置が必要になります。

また、潮の干満の影響や降雨による水位の上昇などの影響を受ける現場も多いため、足場の仮設においても緊急時の速やかな撤去など考慮しなけれはならない点が多くなります。

【その他の調査現場】

砂防堰堤上での調査
砂防堰堤上での調査
急な階段に組んだ足場
急な階段や山林での足場仮設
建物内での調査
建物の中での調査

上の写真のように様々な現場での安全パトロ

ルを行っています。現場状況は、多岐に渡り、それぞれの現場に制約や危険因子があります。もちろん現場に着手する前には必ず下見をし、機材の搬入や足場の仮設について安全にかつ効率的に作業を進められる方法を十分に検討します。

しかし、やはり実際に作業中の現場の安全対策を定期的に第三者的な視点から確認していくことは重要だと思います。作業に従事する人からすると見落としがちになるリスクを発見し、事前に排除できれば、事故を減らすことができるからです。

そして最後に大事なことは、この安全パトロールの結果を全員で共有することだと思います。

私の会社でも安全パトロールを実施した後は、後日現場の方も集まり社内で安全会議を開き情報共有と意見交換を行います。

そこで、各現場で注意した点や工夫した点、そしてヒヤリとした体験などをそれぞれに発表してもらい、それに対する意見や改善方法などを話しあうことで、全員の安全への意識と知識、経験値を高めていくことができます。

事故を起こしたくて、起こす人は誰もいないと思います。そしてゼロにすることも限りなく不可能に近いかもしれません。

だからこそ、調査に関わる全ての人の安全への意識を高め、どの現場においても最大限の安全対策をすることで、防げる事故をしっかり防いでいくことが大切だと思います。

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