地質調査業の位置づけ 建設投資の推移と課題

地質調査業の仕事としての位置づけ

地質調査業は、日本建設産業分類では、

(大分類)『学術研究、専門・技術サービス業』

(中分類)『技術サービス業』 

ということのようです。一言でいうと『地質専門の学術的、技術的サービス業』といったところでしょうか。

ただサービス業と言われても、実際に行っているボーリング調査などはどうもイメージとはずいぶん違いますし、学生や若い人たちに説明する際に、サービス業ですと言ってもピンと来ないと思うんですよね。

実際に、地質調査業は建設業との関わりが非常に強いです。地質調査や測量・設計などの業務は、土木工事や建築といった建設事業の施工段階の前に行われる業務になります。

建設事業の一環なのになぜサービス業なのかというのは、その業務の『成果品が無媒体』ということにあるそうです。

土木工事や建築では、例えば、道路、橋、建築物がその工事の成果品という形になりますが、地質調査などの業務は、調査によって得られたデータやそれについて行う解析とそのとりまとめという形のないものが成果品なのです。

そういったことから、地質調査業は産業分類上はサービス業ということになるんですね。

とは言え、実際に仕事をするうえで関わりが深いのは間違いなく建設業です。そこで、建設業の位置づけについても少しだけデータを見てみようと思います。

建設業は日本国内の産業においてどのような位置づけなのでしょうか。

主な産業の国内生産額(出典)総務省「令和元年度 ICTの経済分析に関する調査」(2020)

2018年の統計によるものですが、これからもますます伸びるであろう情報通信産業が最も多くの割合を占め、次いで商業、不動産業、医療・福祉、そして建設業の順になっています。国内生産額で約66兆円、全体の約6%を占める巨大な産業です。

建設投資については、2011年の東日本大震災以降増加に転じています。復興需要や国の国土強靭化計画に伴い増加していましたが、近年は新型コロナウイルス等の影響もあり、微増と微減を繰り返しているのが現状です。

しかし、建設業全体としてはインフラの整備、維持管理、改修などは減少することはなく、比較的安定した業界だと言えるかもしれません。

建設投資と業者及び就業者数
国土交通省 参考資料より抜粋

しかし、グラフで見ると、平成24年以降あたりから投資額は右肩上がりになっているものの、許可業者数と就業者数については、ほぼ横ばいの状態です。

どちらもピーク時よりも20%以上減少しています。さらに日本ではこれから人口減少が問題になります。労働に従事する人口自体が減少する中において、建設業に就職する若者をどのように確保していくかが課題になります。次に、年齢別に就業者数を見てみます。

年齢階層別 建設技能労働者数
国土交通省 参考資料より抜粋

技能労働者数を年齢別でみると65歳以上が最も多く、60歳以上が全体の4分の1を占めています。

40代は全体から見ると多く、現在働きざかりの世代はある程度の労働者数がいます。しかし、そこよりしたの世代30歳未満が全体の1割程度しかいません。

20年後の業界を考えたとき、現在の40代は60代となり、業界を支える中心となるのは、今の2~30代の人たちになります。このまま若い世代の入職が進まなければ、近い将来技術者不足になることは目に見えているのです。

ただそれは裏を返せば、現在の若者にとっては大きなチャンスでもあると思います。

将来的に、技術者が不足してくることが予測されるということはつまり、技術者は貴重な存在になるということです。

能力の高い技術者、若い技術者は引く手あまたになるでしょう。だからこそ、一人でも多くの若者に、今から経験を積み、技術を身に着けていってほしいと思うのです。これに関しては、地質調査における技術者についても同じことが言えますね。

建設業に対しての地質調査業の位置づけ

建設業から見た場合の地質調査業の位置付けはどのようなものでしょうか。

国土交通省によると、建設事業と関連の深い、地質調査業は、測量業、設計業及び補償コンサルタントと併せて、『建設関連業』と呼ぶとされています。

道路、河川、ダム、橋梁などの公共施設は、調査・計画・設計・施工・監理などの一連の業務の過程を経て建設されます。これらの業務は、国や都道府県などの事業主体から発注され、工事(施工)の部分は建設業によって担われるとともに、工事に先だって必要となる調査、計画、設計、用地補償などの業務は建設関連業によって担われています。  この建設関連業は、測量業、地質調査業、設計業(土木と建築に分けられますが、ここでは土木工事の設計を業とする建設コンサルタントについてご紹介します。)及び補償コンサルタントに分類され、これらの業を行う者を建設関連業者と総称しています。

国土交通省

つまり地質調査業や測量・設計は、いわゆる土木工事や建設工事などの事業を行うにあたって、本工事に入る前の段階で行う業務なので、建設関連業という位置づけになるのですね。

ただ勘違いしてはいけないのは、地質調査を始めとする建設関連業が担う事前の業務の成果が、のちに建設される様々な施設の安全性や維持管理に大きく影響するということです。

事前の調査が不十分なままに工事が進行し、後になって問題が発生した場合、取り返しのつかないことになってしまいます。

そのため地質調査の技術者には高度な専門性と精度の高い成果が求められるのです。

喫緊の課題はやはり担い手不足

建設業全体でみ見てもここ10年ほどで建設投資は伸びていますが、建設業界の就職・雇用者数はほぼ横ばいの状態です。どんなに工事が発注されて、企業としても仕事を受けたくても『人』がいなければどうにもなりません。

地質調査においても次世代の担い手不足は深刻です。

実際に現場でボーリングマシンを使い調査を行う機長ですが、九州内においても60代以上が3割を超えています。

ボーリングの技術の継承を行い、この業界を衰退させないためにも、若いみなさんに、この業界に興味を持ってもらいたいのです。

そのためのブログにしたいです。

単にどんな仕事をするのか?ということだけでなく、どんな人が地質調査業で働き、充実した人生を送っているのか?

会社に縛られずに独立することもできるのか?など、このブログではこれまでと違った角度から地質調査業を紹介していきたいと思っています。

少しでも興味のある方は、たまに記事を覗いてみてもらえると嬉しいです。

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